EU(欧州連合)の政治的・経済的な影響力は増大しているが、その対外政策はEUの拡大と度重なる制度改革によって変容している。日EU関係は従来主として経済関係が中心であったが、冷戦の終焉後は平和と民主主義をはじめとする共通の価値に基づく外交を展開し、グローバルな秩序形成のための責任と能力を有するパートナーとしての関係が発展してきた。本研究はとりわけEUの対日政策に重点を置いてEUの対外政策基盤の変容を分析するものである。その際には対外政策を広くとらえ、共通外交安全保障政策のみならず、対外経済・通商政策、途上国に対する援助政策、域外国への対外政策と隣接近隣諸国の加盟政策・近隣政策など、イシューにおいても地理的な側面においても多面的・多層的な対象を分析する。EUを国際関係における重要なアクターとしてとらえ、マルチディシプリナリーな接近方法を用いて、現地調査を中心として分析する。EUの対日認識はEUの置かれた国際的な環境の変化と、EU内の担当者や組織の変化によってまた大きく変化してきているが、この側面を包括的なEU対外政策分析の中で明らかにする。
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