研究課題
サンゴ骨格には熱帯海洋の気候変動が月から過の時間分解能で記録されているため、年輪の分析することによって、地球規模の気候に大きな影響を与えるENSOなどの大気-海洋系変動の海洋環境への影響を復元できる。本研究は、パラオ諸島において発見された高さ4.7mという巨大ハマサンゴ群体のコアを採取・分析し、過去450年間の海洋環境変動を復元する。450年もの長期間の海洋環境変動を、サンゴ年輪によって復元した例はなく、復元された海洋環境変化史から、ENSOの長期変動を明らかにすることができる。平成20年度は、酸素安定同位体比測定を1000試料(約100年分)行なった。過去50年分のデータについて、衛星観測によって算出されたグリッドの水温記録と比較してENSOシグナルを抽出、パラオにおけるENSOの影響・特徴について考察した。さらに、酸素同位体比から水温の効果を差し引くことで、塩分変動を月単位で復元した。パラオでは、特に強いエルニーニョ時に塩分が高くなることが分かった。水温・塩分の連続的記録が、地球規模の気候変動を駆動する熱帯西太平洋から得られることにとよって、気候変動メカニズムの解明に重要な束縛条件を与えることができる。さらに、長期的な復元結果を、ENSOの長期シミュレーションと比較することによって、モデルの評価を行なった。大気-海洋結合モデルSINTEX-F1を改良したUTCMで、現在の海洋環境を復元するテスト・ランを行なった。サンゴから復元した水温・塩分記録と大気-海洋結合モデルによるENSOの長期シミュレーションの結果の比較により、長期的な気候変動のメカニズムを解明する。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
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