研究概要 |
平成19年度は、銀河中心およびマゼラン雲の定常観測を実施する一方、銀河中心のリアルタイム解析を強化し、マゼラン雲のアラートの準備を行った。銀河中心については、488個の事象を検出し、インターネットで世界中にアラートを発信した。さらに、惑星による変位をリアルタイムで検出(MOA308)するなど、4つの惑星候補事象(MOA192,197,308,379)の観測に成功した。現在、これらの事象の解析が進められており、1つの事象(192)については、解析を終了し論文を投稿中である。今後追尾観測網と連携を強化することにより、惑星特に低質量惑星の検出効率の改善が期待され、地球型惑星などの成果につながる成果である。また、2006年の銀河中心のデータを再解析し、アラートに含まれない事象が多数あったことを確認し、事象のタイムスケール分布を求めた。この中から、浮遊惑星の可能性のある17個の短いタイムスケールの事象を発見し、解析を進めている。これらの成果は、日本天文学会(岐阜大9,月、東京3月)、太陽系外惑星研究会(東大3月)、IAU(中国10月)、マイクロレンズ国際会議(イギリス1月)などで発表した。また、これまでのMOA IIの成果をJGRG17(名大12月)で紹介した。 マゼラン雲については、アラートシステムの準備を行い、今後微調整を行い、平成20年度に最初なアラートを出すべく準備を進めている。ピーク近傍の集中的な観測により、視差や有限ソース効果など、距離の情報の引き出せるデータが取れることが期待できる。また、過去の61cm望遠鏡による大マゼラン雲のデータを解析し、マイクロレンズ事象1個を発見した。
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