研究分担者 |
吉田 真吾 東京大学, 地震研究所, 教授 (20202400)
三宅 弘恵 東京大学, 地震研究所, 助教 (90401265)
五十嵐 俊博 東京大学, 地震研究所, 助教 (10334286)
加藤 愛太郎 東京大学, 地震研究所, 助教 (20359201)
佐野 修 東京大学, 地震研究所, 教授 (20127765)
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研究概要 |
南ア金鉱山内の地下3.5km地点に展開したAE観測網では,最高200kHzまでの高周波を含むイベントを多数とらえることに成功した。暫定的な解析では,観測できたイベントの最小震源サイズは数センチメートルである。このように小さなイベントを天然の地質構造の中でとらえたのは世界初である。さらに,鉱山の観測網による最小地震のサイズに相当する数メートルサイズの破壊までさまざまな大きさの破壊による破壊が同じ観測網で捉えられ,実験室と自然地震の中間スケールでの破壊現象を観測するという目的が達成できる性能をもつ観測網であることが実証された。 また,今回の自然微小破壊観測のターゲット帯域である10-150kHzという高周波帯域での弾性波を能動的に照射して,サイト周辺ノ岩盤の音速,減衰等の構造を測定する実験に成功した。この結果,岩盤の状態は非常に良好であることがわかり,数十メートルの範囲内で数十センチメートルクラスの天然微小破壊が観測だれているとするわれわれのデータ解釈を指示する。さらに,比較のために設置した25kHz加速度計の記録との比較によれば,60m先でおこった,M-3クラスの破壊の波形が記録されていることになる。このような状況から,観測網の範囲を拡大すべくセンサを増設する工事をはじめた。 2007年12月27日に,観測網内にある厚さ30mの貫入岩と母岩の境界で,鉱山地震としてはやや規模の大きいM2.1の地震が発生し,これに伴う大量の余震(自動処理で震源決定できたものだけで地震後1日の間に15000個以上)をとらえることに成功した。余震分布の中には,本震が発生した貫入岩と母岩の境界に一致する面的な分布を見ることができる。
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