研究課題
本年度も11月および12月の2ヶ月間、オーストラリア・ダーウィン地域において、VHF広帯域干渉計によるヘクター観測を実施した。前年度実施の観測点3箇所のうち、1簡所を新規地点に変更した。これは、昨年度の観測結果を踏まえ、より広範囲に渡り雷放電路の高精度三次元観測を実現するための配置変更である。また、新規観測地点では、良好な電波環境を確保するため、記録系を含むシステム全体を屋外配置とし、このために必要なシステムの改良を行った。この結果、炎天下や豪雨時においても観測可能なシステムを実現し、観測期間を通じてその安定的な動作を確認することができた。実用観測網とするためには更なるコンパクト化が望まれるが、屋外設置での実績を得たことは観測網構築に大きな進歩をもたらすものである。オーストラリア気象局との連携も継続し、観測期間を通じて二重偏波気象レーダ観測データ、高層気象データの提供を受け、雷観測結果との統合を行った。データ解析においては、特に雷放電開始点の雷雲構造に注目した。雷放電は霰と雪が存在する領域の境界付近から開始している。雪の粒子が正、霰の粒子が負に帯霞していると考えられることから、雷雲のライフステージや場所に関わらず、電界の強い領域で放電が開始していることが分かった。次年度は国内で実施している、Kuバンド広帯域レーダと広帯域干渉計との同時観測で得られた結果を基礎データとし、オーストラリアで得られた結果と比較して、ヘクター特有の特徴を議論する予定である。今年度はその基礎データの準備と解釈を終えている。
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Journal of Atmospheric Electricity 29-1
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