研究概要 |
本研究により2007年に32億年前の海底堆積物について陸上掘削を西オーストラリア,ピルバラ海岸グリーンストーン帯で行った.3本のコアでトータル200mの新鮮な海底堆積物岩石を取得できた.本掘削では,32億年前の深海底がどのような状態であったか,熱水起源の堆積物と表層から降り積もる生物の痕跡を調べることが目標であった.今まで風化が著しく,白色-小豆色の泥岩はすべて黒色頁岩であり,炭素濃度は著しく高い,同位体的には軽い(28‰)のシアノバクテリアの堆積したものであることが明らかになってきた.このシアノバクテリアの影響により,酸素濃度が上昇しその上部には縞状鉄鉱層が沈殿することになる.これは地層の堆積場が浅くなるか,もしくは酸素濃度が高くなり酸化的海が下に下がって来たことを示している可能性がある。32億年前の対比として,アフリカのバーバートングリーンストーン帯の調査により,ピルバラと同様な海底堆積物を発見し,記載している. 原生代は,ガーナ・ベリミアン帯とカナダフリンフロン帯について調査を行った.双方とも火山砕屑岩を多く含む地質帯であるが,比較的深い海洋性島弧の海底堆積物と考えられる.堆積物は黒色頁岩と火山砕屑岩からなり,鉄鉱床などは無くなる.太古代に比べて熱水活動の痕跡が少ないが,海洋底は非常に嫌気的であったと考えられる. 今後,層序的・化学的な対比をおこないどのように太古代から原生代に変化していったかを考察していく必要がある.
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