研究課題
1.フィリピン北西部ボリナオ産のオウムガイ化石が、現生接オウムガイ(Nautilus pompilius)に同定された。また、その含有層の微化石の解析から、更新世前期であることも確かめられた.この標本はオウムガイの最古の化石記録であり、オウムガイ類の鮮新世〜更新世の化石記録を埋める貴重な情報となった.2.中新世中期は地球規模の温暖期で、日本列島北部まで亜熱帯的な海洋環境が拡大した時期である.その証拠の一つは、ビカリアと呼ばれる特異な巻貝属数接が東南アジアから北海道南部まで分布することである.しかし、東南アジアのビカリア属の産出時代と分類は未だ確定しておらず.これらの問題の解決は当時の生物地理の理解に重要である。本研究では、フィリピンとインドネシアのビカリア産出層の微化石年代を検討中で、すでにフィリピンでは中新世後期にまで生存することなどが明らかになりつつある.特に分類に関しては、紫外線を用いて殻の色紋様の復元から、日本産と東南アジア産の接ではほぼ一様であり、同一種である可能性が示唆された。今後東南アジア産のビカリア含有層の年代を検討し、その古生物地理を明らかにする計画である.3.フィリピン産新生代化石甲殻類の分類研究をおこない、6新種を含む17族20種を見いだした。4.フィリピンのボホール島で、未知の浅海性貝類群集を見いだし、微化石の解析からそれが後期中新世の堆積物であることを明らかにした.この貝類化石群は、フィリピンの鮮新世の貝類群集には見られない絶滅種が多く含まれ、この地域の貝類群の変遷を知る上で重要な情報となる。5.北海道大学との共同研究として、東南アジア熱帯島嶼め古海洋環境変動史とサンゴ礁発達史の解明をおこなっている。今年度はフィリピン産の完新世サンゴ化石の新たな分析手法の開発を試みた。
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