研究課題/領域番号 |
18255006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中務 真人 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00227828)
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研究分担者 |
國松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (80243111)
酒井 哲弥 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (90303809)
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キーワード | 中新世 / ヒト上科 / ヒト科 / 化石 / オナガザル上科 / 進化 / 古環境 / 東アフリカ |
研究概要 |
当該年度は、人類とアフリカ類人猿の最後の共通祖先像を明らかにするため、ケニア、ナカリにおいて、発掘調査を行った。具体的には、後期中新世霊長類の化石資料を増やすこと、霊長類化石産地の詳細な地質学的検討、古環境復元をおこなうことを目的とした。8月から9月に現地調査を行い、霊長類が豊富に出土しているNA39とNA60サイトの発掘を行った。その結果、オナガザル類を中心に、部分骨格を含む多くの霊長類化石を得た。これらの成果は、第25回日本霊長類学会大会、第2回東アフリカ古人類学先史考古学大会(タンザニア)、第64回日本人類学会大会、第78回アメリカ形質人類学会大会(アメリカ)等において発表し、また論文としてはAmeriean Journal of Physical Anthropology、Geological Society Special Publication等に発表した。これらの論文では、これまで知られている最古のオナガザル科マイクロコロブスの四肢骨を世界で始めて記載し、それが樹上性であることを明らかにした。このことは、当時のナカリの古環境が森林性要素を色濃く残すこと、ヒト上科とオナガザル上科がともに森林内で同所的に生息していたことを示唆する。また、ケニア大地溝帯委地域において、960万年前に季節的に降雨期がある全体として乾燥した気候から、より季節性の激しい気候への変化があったことを明らかにした。これは、インドのモンスーン気候の成立とほぼ同時期に起こっており、熱帯収束帯による大気への水分の供給が増加したことが示唆される。
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