研究課題
フィリピンにおいては1983年以降麻痺性貝毒による中毒事件が発生しているが、1987-1998年に比べ、1999年以降は中毒発生件数も減り、原因種Pyrodinium bahamenseの発生量もかなり減少傾向が見られた。しかし2006年8.月に、1983年と1999年以降問題が起こっていなかったルソン島ソルソゴン湾において死者9名を含む患者80名以上の中毒事件が起こった。同海域に有毒種p.bahamenseが再発したことによる中毒事件の発生であり、その再発機構については全く不明であるため、海底堆積物の採取などを含め現地調査を平成19年度に計画している。ベトナムにおいては、麻痺性貝毒は確認されなかったが、2006年8-9月に中部ニャチャン市近郊のニャフー湾で記憶喪失性貝毒が二枚貝Spondylus versicolorに多量に認められ、同時に採取されたプランクトン試料にも検出された。このため、原因種として、従来より世界各地で毒生産能のある珪薬Pseudo-nitzsohiaが疑われたが、その発生量が少なく、2006年の調査では原因種は特定できなかった。その後定期的観測を継続しているが、その時の優占種が今まで毒性確認の分析例のないP.cacianthaであったため、平成19年度の調査において株の確立と毒性確認、同種の発生消長の観測、及び消長と海洋環境の関係を含め、貝類毒化機構と原因プランクトン発生機構を主題として様々な調査を実施する予定である。このほか、有害種のCochlodinium polykrikoidesや赤潮原因種Noctiluca scinttillansについても調査を行い、前者は東南アジアにわが国と異なる近縁種が発生していること、後者は東南アジアに発生する緑色の群集とわが国の紅色の群集が同一種である可能性が高いことを認めた。
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日本プランクトン学会報 54・1
ページ: 50-54
Coastal Marine Science 30
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