研究分担者 |
児玉 正昭 北里大学, 水産学部, 教授 (40050588)
松岡 數充 長崎大学, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 教授 (00047416)
古谷 研 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
岩滝 光儀 長崎大学, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 助教 (50423645)
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研究概要 |
フィリビンにおいては,1983年以降麻痺性貝毒による中毒事件が発生しているが,1999年以降は減少傾向にあり,原因種Pyrodinium bahamenseの発生量もかなり減少していた。しかし2006年5月にネグロス島のシアトンで,2006年10月にルソン島のソルソゴン湾においてP.bahamenseが再発したことによる中毒事件が発生した。その発生機構を調べるため培養株の作成を試み,まずソルソゴン湾より培養株の作成に成功した。またこれまでにP.bahamenseの発生の知られている海域から培養株の作成のために海底堆積物の採取を行った。採集地は,ルソン島のマシンロック湾,マスバテ島のミラグロス,ミンダナオ島のバリテ湾である。すでに,これらから得られた培養株の毒組成および成長生理学的特性に関する実験,および得られた堆積物からの培養株の作成を開始している。 ベトナムにおいては,2005年と2006年の2年連続で,中部ベトナムのニャフー湾に生息する二枚貝類とプランクトンサンプルからドウモイ酸(DA)が検出され,同海域は天然プランクトン群集からDAが検出される特異な海域であると考えられた。そこで同湾から植物プランクトンの培養株を10種37株作成し毒性を精査したところ,原因種の1つが珪藻類のPseud-onitzschia cacianthaであったことが明らかになった。 このほか,有害種を含む渦鞭毛藻類Cochlodinium属についても,分子生物学的手法を用いた分類学的研究を進め,1新種を含む3種の発生を確認した。また,東南アジアでもっとも赤潮発生の頻度が高く,大規模赤潮を形成するNoctiluca scintillansでは東南アジアに発生する緑色の群集の生態学的研究を進め,本種は増殖速度が低く,その赤潮形成には摂餌や濃縮過程が重要であることが明らかになった。
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