研究分担者 |
福山 愛保 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70208990)
橋本 敏弘 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (10075955)
豊田 正夫 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (50122586)
長島 史裕 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (60228012)
伊藤 卓也 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (90517484)
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研究概要 |
本研究はマダガスカルおよびケニアの薬用植物分布調査と人体に優しい医薬原料の供給および医薬品を創製することを目的とする。本年度は特に未利用苔類に焦点を当て研究を進めた。マダガスカル産ゼニゴケ類は環状ビスビベンジルであるmarchantin AおよびBがインフルエンザに対し強い抗ウイルス活性のあることを初めて見出した。marchantin Aは乾燥ゼニゴケ8kgから約80gから100g得られる。またハネゴケ類環状ビスビベンジルisoplagiochin類は臨床で用いられているパキシタキセルと同様の活性があることを再確認し,ジンガサゴケやウスバゼニゴケ類には抗肥満活性を示す同様のビスビベンジルriccardin Cを含むことも見出した。マダガスカル産薬用植物Cinnamosma属や苔類含有成分の探索を続行するとともに、これまで得られた化学成分との比較研究を行うためにマダガスカルと緯度が類似するボルネオやタイあるいは南半球タヒチ、ニューカレドニア、ニュージーランドなどに生息している苔類、アルゼンチン産シダ類の成分探索、ケニアから郵送されたWarburgia属薬用植物の成分研究を開始した。サワラゴケのherbertane型セスキテルペノイドは強い抗菌性、NO産生抑制活性を示すこと、Chandonanthus hirtellus Cembrane型ジテルペン含有し、それらがHL-60細胞毒性を示すこと、ボルネオ産アズマゴケはKB細胞毒活性のあるcostunolide, tulipinolide, 8α-acetoxyzaluzaninなどを含有すること、Hymenophyllum flabellatumは猛烈な辛味成分1-(2,4,6-trimethoxyphenyl)-but-2(E)-en-1-oneを含有することを見出し、またアルゼンチン産シダ類2種から新規phloroglucinol類を単離・構造決定し、これらの化合物は強い住血吸虫症中間宿主の巻貝の殺貝活性を示した。上記研究成果は国際シンポでの基調講演、国内の各種シンポジウムで発表するともに、原著、総説として発表した。マダガスカル産およびケニア産のCinnamosma属およびWarburgia ugandensisの各種のdrimane型セスキテルペノイド、苔類のherbertane型およびcuparene型セスキテルペン類のクロカビ属による微生物変換で5員環に酸素官能基の導入およびベンゼン環への直接水酸化を明らかにした。これらの成果は2冊の著書(英文総ページ560)としてCRCおよびElsevierから出版した。本研究代表者はマレーシア天然物協会から国際的に卓越した天然物化学研究業績を上げた研究者に授与されるJack Cannon国際賞を日本人として初めて受賞した。この内容は現地新聞、徳島新聞夕刊(2010年1月7日、朝刊同1月8日)に大きく取り上げられた。
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