研究課題
研究目的:新大陸及び旧大陸に分布するリーシュマニア症(「リ症」)の伝播・疫学及び病態生理を明らかにし、本症の医学生物学の発展と予防対策に役立てる。研究実施計画:平成20年度は新大陸では主にエクアドル及びペルーの患者・媒介サシチョウバエ及び保虫動物等について分子疫学・生物学的手法を用いて継続調査を実施した。また、旧大陸ではパキスタン及びバングラデシュの患者検体を中心に分子生物学的・免疫学的解析及び診断法の開発を行なった。研究成果の主な内容:1)本研究で開発した分子生物学的手法によるアンデス流行地での調査で、エクアドルではL.(L.)mexcicanaがLu.ayacuchensisで、ペルーではL.(V.)peruvianaがLu.peruensisでの寄生が判明した。2)エクアドルのアマゾン地域の流行地でL.(V.)naiffiのLu.tortura寄生を初めて明らかにした。また、同流行地ではTrypanosoma cruziの人感染についても血清疫学調査を実施した。3)ペルー各地で媒介サシチョウバエの採取及びFTAカードによる患者検体の採取を行い解析中である。4)内臓「リ」症診断キット(r K39)の他病型とのCross-reactionをチェックし、診断や保虫動物検索への応用について検討した結果、その有用性が示唆された。5)パキスタンの「リ症」はL.(L.)majorが主で、L.(L.)tropicaも関与していることを明らかにした。また、バングラデシュの内臓「リ症」患者尿検体を用いてrKRP42抗原による診断法を開発した。研究の意義及び重要性:上記1)〜4)は新大陸「リ症」の医学生物学に大きく貢献し、本症の診断や予防に重要な新1知見を提供した。また、5)は旧大陸におけるリ症の病態生理の理解や早期治療に向けた対策を講ずる上で重要であり、その意義は大きい。
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