研究課題/領域番号 |
18300005
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
程 京徳 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 教授 (30217228)
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研究分担者 |
後藤 祐一 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 助手 (70400801)
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キーワード | 反応的システム / 先行推論 / 時間相関論理 / 行動推論 / 規範相関論理 / 汎用先行推論エンジン / 時間規範相関論理 / 永続計算システム |
研究概要 |
(1)時間相関論理に基づいた汎用先行推論エンジンを開発した。 実世界における時間に関連する物事とそれらの間にありえる様々な関係の抽象化・モデル化や、「患を未然に防ぐ」ことにとって不可欠な先行予測推論のために、形式的な表現手段および推論の妥当性を基礎付ける論理基礎は不可欠である。本研究では、時間に関する様々な性質に対応する時間様相演算子とそれらに関する時間古典論理の様々な公理を、強相関論理に導入し、時間に関する様相命題をおよびそれらの間の相関含意関係を表現し推論すること、即ち、時間的・相関的推論を基礎付ける時間相関論理の様々な体系を構築し先行予測推論の論理基礎を確立した。一方、信頼性と安全性の側面から見れば、先行予測に基づく永続的反応システムの狙いは、「患を未然に防ぐ」ことである。その役目を果たす中心的な構成部分は、先行予測推論のための前向き推論エンジンである。先行予測推論は現実世界の問題について十分事前に推論結果を導き出さなければ、「先行予測」の意味からみれば、全く役に立たない。従って、先行予測に基づく永続的反応システムの実現と応用に向けて最も重要な課題は、実用に耐えられる高速前向き推論エンジンの開発である。本研究では、筆者の研究室が開発した汎用前向き帰結演算システムEnCalを改造し、時間相関論理に基づいた汎用先行推論エンジンを開発し、その原理と有効性の検証を行った。 (2)先行予測に基づく永続的反応システムの世界最初のプロトタイプを実現した。 先行予測推論エンジンや自己計測監視機構やデータベース管理システムや指令・データ基地局などの構成成分をソフトシステムバスを用いて結合するアーキテクチャーを設計し、超高層ビルにおける火災発生と蔓延のシミュレーションプログラムを開発し、超高層ビルのエレベータ制御システムを先行予測に基づく永続的反応システムとして開発しその有効性の実証を行った。 (3)時間順序を考慮した行動推論の妥当性を基礎付けるための時間規範相関論理を提案した。 先行予測に基づく反応的システムは、先行予測推論により、発生しうる事象を推測した後、どんなしかるべき行動をどのように取るべきかを決定しなければいけない。本研究では、許可、禁止、勧誘に関する様々な性質に対応する規範様相演算子とそれらに関する規範古典論理の様々な公理を、時間相関論理に導入し、時間順序を考慮した行動推論の妥当性を基礎付けるための時間規範相関論理を提案した。
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