研究概要 |
20年度における研究成果を以下に要約する。 1.ループ内のパス(以降,ループパス)に限定したパスプロファイラの研究開発を継続的に行った。本パスプロファイラは,ループパスを検出するとともに,ループごとのパス数を計数して,ホットループの検出を同時に行い,ホットループが検出された時点において蓄積したループパス情報を出力する。本プロファイラを用いた実験により,小規模のハードウェアによって,1~2位パスが高精度で検出可能なことを明らかにした。 2.1.で研究開発したループパスプロファイラを用いた実験により,SPECCINT2000の8つのベンチマークプログラムにおける上位5位までの全40個のホットループ中,実に39個のホットループにおいて上位2本までのホットパスが80%以上を占めていることを明らかにした。 3.ループパスに沿った投機コードの生成アルゴリズムを明らかにし,このアルゴリズムに基づくコードジェネレータを研究開発した。 4.2パス限定投機コードを実行するチップマルチプロセッサアーキテクチャを設計し,そのシミュレータの研究開発を行った。本プロセッサは,投機的なマルチスレッド実行を支援するための,プロセッサ間のデータ転送機構,投機的なメモリアクセス機構などの機能に加えて,パスの予測機構と予測に基づく投機的な実行機構を備えている。 5.提案システムにおける性能改善の見積り実験を行い,非投機実行と比べて,1.5~3.0倍の高速化が達成できることを明らかにした。 これらの成果は、添付した学協会誌論文,国際会議論文、口頭発表により公表した。この中で,国際会議発表においてBestPaperAwardを1件受賞し,国内学会の口頭発表により学生奨励賞を1件受賞している。
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