研究概要 |
本研究では,ユーザからのアプリケーションプログラムの実行要求に対して,インターネット上の計算資源群(計算機,データベース,ネットワーク等)の最適な利用計画を自動的に作成し,利用計画に基づいて計算資源群の事前予約を行うことにより,ユーザの多様な要求を満足するための高度なスケジューリング技術を開発することを目的としている. 平成18年度は,これを実現するためのモデル,具体的にはユーザからの計算要求の受付と解釈,インターネット上の計算資源に関する情報収集,計算資源利用計画の作成,複数の計算資源に対する予約手続き等の処理をどのような手順で組み合わせるのかという問題を解決するためのプロトコルの検討を行った.また,計算資源の利用計画を作成するための計算資源利用計画自動生成アルゴリズムの開発に着手した.具体的には計算機やネットワーク上での処理に関する性能予測モデルを構築し,本モデルに基づいてユーザの計算要求を満足するように計算や通信の割り当てを決定するヒューリスティックアルゴリズムを考案した. 計算資源利用計画自動生成アルゴリズムの検証を行うためには,複数のアルゴリズムの性能評価を行い,性能の検証を進める必要がある.これを実現するために,プロトタイプシミュレーションソフトウェアを開発に着手した.本ソフトウェアは,離散事象シミュレーションモデルに基づき,本研究が想定するグリッド環境の簡易モデル上で計算資源利用計画自動生成アルゴリズムに従った資源予約シミュレーションを行うことができる.また,実グリッド環境により近い状況での性能検証を行うため,グリッド環境のエミュレーション手法についての検討も行った.
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