研究概要 |
平成18年度の研究では,精密なシミュレーションモデルの開発,計算資源利用計画自動生成アルゴリズムの開発,および性能評価環境の構築を行った. 精密なシミュレーションモデルの開発では,平成18年度に開発したシミュレーションモデルをより精密化し,シミュレーションソフトウェアを開発した.例えば,資源に対する競合を解決する手段としてtwo phase commitプロトコルが提案されているが,本シミュレーションソフトウェアにおいても,本プロトコルを用いた資源要求のシミュレーションを実現した.また,平成19年度に購入した高性能並列計算システム上に本ソフトウェアを実装し,高速なシミュレーションを行った. 計算資源利用計画自動生成アルゴリズムの開発では,上記のシミュレーションによる評価を通して,平成18年度に考案したヒューリスティックアルゴリズムを改良した.する.本アルゴリズムではグリッド上の計算資源やネットワークをどれだけ予約すればよいかを示す予約量を自動的に決定することを目指している.平成18年度に開発したアルゴリズムでは,予約量の決定方法に制約が多く,予約量の決定に要する時間が長いという問題があったため,制約が少なくより効率のよいアルゴリズムを開発し,シミュレーションによりその有効性を評価した. 本研究では,シミュレーションによる評価のみではなく,より実際のグリッド環境に近い状況での評価も重要である.このような性能評価環境の構築として,グリッドのエミュレーション環境の構築を進め,アルゴリズム評価に必要な機能の検討をシミュレーションと並行して行った.
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