研究課題
この研究は新しい超音波位置計測の技術開発ならびに応用開発をめざしたものである。2006年(初年度)では本研究の基本原理である位相一致法の特性を数学的に完全な形で解析し、研究全体の基礎を得ることができた。位相一致法は、従来数センチメートルの精度が限界と考えられていた空間超音波を使った位置測定を、ミリメートル以下の精度で実施する技術であり、効果は事前に実験で確認していたが、なぜ100倍近い精度向上が可能であったか、数学理論で初めて判明した。結果は論文「位相一致法による正確な超音波位置認識手法とその特性」において公表した。2007年度(第2年次)では原理に基づき位相一致法の信号処理を行う信号処理ボードを設計、試作した。自在に超音波測位システムを構築することができるようになったが、フィールドテストの結果、動いている物体の測位で予想外の測定誤差を生じることがわかり、その原因追求および補償も研究課題に加わった。2008年の最終年度では、これらを配慮しつつ、まずフィールドで容易に使用可能な3D超音波測位システムを作成した。これは約15cm角の金属ケースに納めたユニットで、これを一台、天井などに設置するだけで、無線通信も併用して完全コードレスで数メートル以内の目標物を3次元測位できる。このような手軽な測位システムは従来なかった。そのデモンストレーションとして、9月に台場科学未来館で開催されたインタラクティブ東京に出展し、好評を得るとともに、本研究の目的である気配の伝達を実現した応用例として成果をまとめることができた。移動体の測位で生じる誤差の補償法についても方針を得、論文を執筆するとともに位相一致法を補完するものとして特許出願を考慮している。このように最終年度において、本研究目標を予定どおり終結させることができた。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
LECTURE NOTES IN ELECTRICAL ENGINEERING (採録決定9月予定刊行)
電子情報通信学会論文誌 Vol. J91-A, No. 4
ページ: 435-447
http://www.itl.u-tokoyo.ac.jp/~usonic/jp/index.html