研究概要 |
本研究の目的は, 3次元の数値シミュレーションや計測等から得られるボリュームデータの特徴的な構造や挙動に関する知見を効果的に獲得するために, 微分位相幾何学的解析を導入することによって, 対象となる3次元スカラ場の位相骨格を捉え, その情報に基づいてボリューム可視化を高度化するツール群(T-engine)により, さまざまな流動現象の複雑動態を効果的に解析するために, 大規模高次多変量時系列ボリュームを対象とする視覚的データマイニング環境を開発することである. この達成に向けて, 今年度は以下のような内容の研究を実施した. ◎ T-engine拡充グループ : 位相骨格化の高次元化と高次数化に関する理論化と, プロトタイピング評価を行った. 高次元化に関しては, 多様体学習理論による時系列ボリュームのスケーラブルな位相骨格近似法を開発した. これは本研究の主要成果の三つである. また, 位相強調を内包するボリュームデータのコミュニケーション手法として, volume fairing法を開発した. さらに, 時系列流動ボリュームデータにおける渦構造を同定する視覚/力覚伝達関数設計法を開発した. ◎ システム化グループ : 3次元拡散テンソル場の構造をより詳細に解析するために, ホワイトノイズボリュームテクスチャの適応的拡散効果により可視化する手法DBT(Diffusion-Based Tractography)のGPU高速化コードを開発した. ◎ 流動解析グループ : 計測シミュレーションに基づく仙台空港の後方乱気流データを含む複数の実データを対象として, 上記開発コードの検証実験を行った.
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