研究課題
平成20年度は、構築された3次元歩行空間呈示システムを用いて、歩行運動の評価を行った。歩行運動を評価するための指標として、足裏の圧力と、腰部と踵の動きに着目した。足裏の圧力は踏力分布が測定できるセンサーを導入し、足が床を踏む力を測定した。腰位置と踵位置は光学センサ(ステレオラベリングカメラ)を用いて測定した。実空間の歩行と当該装置における歩行時の挙動の違いを調べた。また、被験者には、当該装置に熟練した者と、初めて体験する人を両方選び、比較検討を行った。足裏圧力変化で熟練者は階段の上り動作、階段の下り動作共に装置上歩行と実空間上歩行で酷似した結果が得られている。一方、初心者の足裏圧力も概ね似た様な傾向が見られているが、装置上の歩行の際に立脚時における変動が見られた。昇降歩行では機体一台につき一歩で歩いてもらっている為、平面歩行に比べて片足で立脚し続ける時間が長くなったためにこのような結果が得られたと考えられる。腰変位についても、熟練者は細かな揺れがあるものの、装置上歩行で実空間歩行と同じ様な動きが出来た。一方、初心者の腰変位は、概ね機体上歩行で実空間と似た傾向が得られているが、平面歩行時よりも少し歪な軌跡になった。さらに、腰の位置に対する踵の相対位置を求め、その軌跡を描いたところ、実空間と当該装置上の歩行運動には、ほとんど差がなく、歩行者の足を拘束せずに歩行が行える床循環型歩行感覚呈示装置の利点である、実空間に近い足運びが出来るという事が示せた。
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日本バーチャルリアリティ学会論文誌 Vo.13,No.3
ページ: pp.836-845