色覚障碍は男性の8%が苦しむ遺伝的な形質である。色覚障碍者は通常であれば用意に区別可能な二色の区別ができない。現代社会において色彩表現を用いた表現技法が一般化するとともに色覚障碍は新たな情報格差を生みつつある。色覚障碍者に健常者が認知する色彩情報を正確に伝えることは困難である。本研究では、一般的な情報伝達においては著者が文書に彩色を施した時点での彩色意図が、その文書を眺める色覚障碍者に適切に伝達されれば十分であることに注目した。本研究では、彩色文書を再配色することで、著者の彩色意図が最大限読者に伝わるように最適化するシステムとして構成されている。本研究の基盤となるSmartColorシステムは、彩色意図を定量的に表現する方式である。SmartColorによって与えられた彩色を施された文書を読者が認知したときに当初の彩色意図がどの程度伝達可能かを定量的に評価し、無数に考えられる再配色のうち、筆者の意図が最も読者に伝わると考えられるものによって再配色を施すことで色覚障碍者の困難を除去することができた。
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