研究課題/領域番号 |
18300042
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊勢 史郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20211732)
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研究分担者 |
上野 佳奈子 明治大学, 理工学部, 講師 (10313107)
平原 達也 富山県立大学, 工学部, 教授 (80395087)
大谷 真 東北大学, 電気通信研究所, 研究員 (40433198)
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キーワード | バーチャルリアリティ / 頭部伝達関数 / テレヘッド / 仮想聴空間 / 能動性 |
研究概要 |
HRTF計測における音響的な緒問題点を明確化し、それらを解決して、安定してHRTFを計測できるようにした。頭髪および頭部固定具の有無によるHRTFへの影響を調べた結果、頭髪の有無は大きな影響を与えないが、頭部固定具は反射波が生じ角度では数dBの誤差を生じることがわかった。次に頭部が無いステレオマイクロホンおよび耳介が無い単純ダミーヘッドをテレヘッドに装着し、実音源を用いた水平面音像定位実験を行った。その結果、頭部運動条件においてはいずれの場合でも頭外音像定位が可能であることがわかった。すなわち頭部形状を大きく変形させて音響的に不完全なHRTFを用いた場合でも、頭部を自発運動させることによって3次元音像の再生が可能であることがわかった。さらに被験者の聴感度特性と5.1ch方式およびバイノーラル方式による再生音の臨場感の関係について調べた結果、高域の聴感度が低下している被験者では高域の成分音が無くても臨場感ある3次元音像が知覚されていることがわかった。この結果は、HRTFが必要とする帯域幅の決定につながる基礎データである。 HRTFを用いたアプリケーションとして、仮想空間内での位置と動きの情報を保持した音声コミュニケーションシステム(VAS:Virtual Acoustic Space)を開発し、試用実験を行った。既存のコミュニケーションツールとの比較を通じた特徴抽出によってコミュニケーションツールの評価構造を導出し、VASシステムの評価を行った結果、意味の伝達に加えて、相手の存在をよりリアルに感じられるエンターテイメント性の高いコミュニケーションシステムの提案の可能性が示唆された。 MRIと光造形法により作成した個人ダミーヘッドに対して実測したHRTFと数値計算により算出したHRTFを比較し、人体の物理形状・吸音特性とHRTFスペクトルの関連について検討を行うとともに、数値計算によるHRTFの妥当性を示した。また、数値計算により、HRTFの距離依存性について検討を行い、特に頭部中心から1m以内の音源に対するHRTFスペクトルの距離による変化を明らかにした。
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