本研究では、カメラの搭載された車両群を動的なユビキタスカメラ群とみなすことにより、これらの道路上の大量の動的カメラを協調して3次元道路情報を復元・提示することを目的としている。初年度である平成18年度は、このための基礎理論となる多焦点カメラの校正理論の導出と、次年度の車載カメラ映像を用いたアルゴリズム開発のための実車システムの構築を行った。 1.多焦点カメラの校正理論の導出 まず、多焦点カメラの幾何学的な性質を解析し、従来の3次元空間に対して1次元分次元を拡張した4次元空間において複数カメラの多視点幾何を考えることにより、従来の単焦点カメラの多視点幾何理論を多焦点カメラの多視点幾何理論に拡張できることを付きとめた。さらにこの新たな多視点幾何の自由度やこれを計算するための必要最低点数などの諸性質を明らかにすることができた。この研究成果の一部は平成18年度中に学会発表しており、それ以降の成果も近々学会発表する予定である。 2.実車システムの構築およびビデオデータ取得 次年度においては実車に搭載したカメラシステムを用いて任意視点映像生成アルゴリズムの開発などを行うが、平成18年度はこのための実車実験システムの構築も行った。2台の実車両をリースし、1車両につき6台ずつ合計12台のカメラを搭載し、全方位画像を取得可能な実車システムを構築した。また、次年度の研究開発に備えて、12台のビデオカメラを実車に設置し、全方位画像の収集を行った。
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