研究概要 |
1.単語音声を聞いた時の話者寸法の弁別閾(JND)を求める心理実験を実施した。実験の妥当性向上のため、有声と無声の変形単語音声を、1つの実験中にランダム提示して、両者のJNDの違いも調べた。この結果、通常発声範囲を逸脱しても、有声・無声ともJNDが約5%で、単音節系列の場合と同程度であった。これは音の大きさの弁別閾の約半分で、寸法は基本的な感覚量であることがわかった。論文執筆中。また、寸法変調による音脈分凝も関連する実験結果も論文化した。さらに、寸法の順応実験も予備検討した。論文1件、国際会議1件、国内会議3件。 2.単音節の脳内処理部位について、日英両国で得られたfMRI実験画像データの解析結果を、国内外の会議で発表した。現在論文執筆中。また、日本人の脳を標準脳に正規化しても、少なくとも聴覚系に関しては問題ないことがわかった。寸法情報処理部位を特定するための実験を十分な被験数で実施し、解析を開始した。国際会議1件、国内会議2件。 3.圧縮型ガンマチャープ聴覚フィルタ(cGC)の利点を活かし、ノッチ雑音と圧縮特性の両データに同時適合させた。実験条件を整備して得たデータに適合した結果、従来法よりも安定にフィルタの周波数選択性が求められることがわかった。すぐに国内と国際会議で発表予定。 4,音声分析合成法STRAIGHTを発展させる高信頼度で高速処理可能なTANDEM法について論文化した。これを元に基本周波数FOや非周期性成分や推定を行う手法を提案した。自由度の高い音声モーフィング技術の開発をさらに進めた。また、劣化音声を自動音声認識器でも認識させ、既収集の人間の知覚特性データとの対比を行った。論文1件,国際会議4件,国内発表11件。
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