研究概要 |
本年度は古文書データベースにおける高速な検索手法を確立するために,検索に適した局所的特徴量を高速に計算するための並列プロセッサへのアルゴリズムの組み込みを行うとともに,特徴量の検索においてLocality Sensitive Hashingを応用して処理の高速化を図った.主要な成果は以下のとおりである. 1 局所的特徴量の並列プロセッサによる高速計算 画像の局所的勾配分布に基づく特徴量を高速に計算するために,MX-1プロセッサによる高速画像処理について検討を行った.この研究のなかでは,SIFT特徴量と識別能力がほとんど同じで,かつ計算手法が並列プロセッサに向いているSURF特徴量について,並列プログラミングを行って一掃することにより,リアルタイムに特徴量の計算を行うとともに,高速にマッチングを行うための方式をあきらかにした. 2 局所的特徴量の確率的(近似的)ハッシングによる高速検索 古文書を構成する毛筆のくずし字について,大量の事例をあつめた文字画像データベースを構成し,データベースから類似の文字を高速に近傍探索して正解を見つけることで,翻刻を支援するための辞書検索システムについて検討を行った.この研究のなかでは,各文字画像の勾配分布から,高次元特徴量を計算して登録し,クエリ文字画像について得られた特徴量をLocality Sensitive Hashingによって近傍探索することで正解を含むグループを発見しようとするこころみである.16万文字程度の毛筆くずし字画像データベースを用いて検索実験を行い,高速な検索が可能であることを検証した.
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