研究課題/領域番号 |
18300063
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
匂坂 芳典 早稲田大学, 大学院・国際情報通信研究科, 教授 (70339737)
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研究分担者 |
小林 哲則 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30162001)
誉田 雅章 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (90367095)
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キーワード | 音声合成 / 韻律制御 / 対話音声 / イントネーション / 基本周波数 / パラ言語情報 |
研究概要 |
本年度は、昨年度までに分析してきた典型的な印象表現に対応する一単語の属性と対話韻律との関係を、より一般的な場合に展開することを目標とした。このため、複数語彙からなる出力に対応する心理印象量の組み合わせと対話韻律の関係について分析を進めた。具体的には、従来の自立語の持つ印象属性に加え、程度を表す副詞、好印象/悪印象を示す形容詞、確信/疑念・肯定/否定を示す終助詞を用い、様態情報を対象とした語彙が有する印象属性の組み合わせで生成される発話内容、例えば「相当厳しいよ」、「そこそこおもしろいかな」、「ちっともきれいじゃない」といった表現を対象とした計256種の対話音声を収集し、それらの韻律特性を分析した。 この結果、各対話表現の韻律は、表現を構成する各語彙が有する印象属性が与える韻律特性の重ね合わせとして表出されることが確認できた。すなわち、好印象/悪印象の入力印象属性を有する語彙は、その発話全体の対話韻律の基本周波数の高低、確信/疑念、及び、肯定/否定の印象属性は、基本周波数の時間変化形状、発話時間長の制御特性を与えることが観察された。また、これらの韻律制御特性は、間投詞「ん」が示す種々の韻律のうち、対応する聴覚印象を与えるものの韻律制御特性と一致した。この結果、入力語彙が有する心理印象量により対話韻律が作成する提案手法が、一単語の属性のみにとどまらず、複数語彙にも適応でき、種々の語彙の組み合わせに対しても、その対話韻律が可能であることが判明した。
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