研究概要 |
ヒューマノイドロボットによインパクト動作を実現するための第一歩として,ヒューマノイドロボットの運動状態と,作用させる力積の関係式を導出した.まず,マニピュレータの慣性をエンドエフェクタの位置の仮想的な質点で表すことができる仮想質量の概念を導入し,仮想質量を利用した力積算出について考察した.そして,関節の剛性が,マニピュレータの慣性を接触経過時間の1次または2次のオーダで増加させていることを確認した.ヒューマノイドロボットは重力と摩擦力によって拘束されているので,宇宙ロボットと地上固定ロボットの中間に位置する存在であると言える.そこで,宇宙ロボットの問題をヒューマノイドロボットに適用した.その結果,ロボットが床面から受ける力をスプリング・ダンパ系で表したときの剛性も接触経過時間の1次または2次のオーダでロボットの慣性を増大させるということがわかった.さらに,等身大のヒューマノイドロボットを使用して衝突実験を行い,式の妥当性について検証した.検証した結果,算出式から得られる値と計測されたデータから求めた値には一定のオフセットが見られた.オフセットは見られたが,あらかじめ予備実験を行いこのオフセット量を算出しておけば,力積を予測することができると言える.また,接触時間が極めて短いような衝突については高い精度で力積を算出することができ,衝突による力積はロボットの姿勢によって決定されるということが確かめられた.
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