研究概要 |
本研究では,障害物が存在する環境で,人間型ロボットが大型の物体をそれぞれの目的地まで運搬するという作業を計画することを目的とする.平成20年度は,昨年度までに構築した物体操作のためのヒューマノイドの全身動作生成手法と,異なる把持形態に対応する操作を含むサンプリング運動計画手法に基づく合成ロードマップ作成手法のプロトタイプとを統合し,必要に応じて持ち替えを行いつつ目標位置まで物体を搬送することを可能とする,より一般性の高い作業計画手法を構築した.具体的には,単一の把持形態に対応する干渉のない経路のネットワークを表現する操作ロードマップを,複数組み合わせて合成ロードマップを求め,持ち替えを含む物体搬送経路の計画手法を次のように構築した.(1)物体のみの経路を計画し,次にロボットを考慮して持ち替えポイントの候補を算出する.持ち替えポイントは,Visibility PRMと呼ばれる効率の良い経路探索手法を用い,物体のみでサンプリングした干渉のない経路をロボットと共に移動した際に障害物と干渉する位置として検出する.((2)これらの持ち替えポイント間をロボットが単独で移動する経路も同様にサンプリング経路計画手法で計画する.(3)このように計画した持ち替えを含む経路に,昨年度までの成果である,安定性・操作性など力学的指標を考慮したヒューアノイドの全身動作生成手法を適用する.これにより,既知の障害物が置かれた環境に応じて,ロボットが把持位置を変更しながら,目的地まで全身動作により大型の物体を持ち上げずに運搬する動作の計画手法を構築した.等身大ヒューマノイドロボットHRP-2の実機を用いた物体搬送実験を行い,構築した手法の有効性を検証した.
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