研究概要 |
ある種類の刺激が呈示されたときにストレスの生理指標である心拍変動、発汗、末梢血流、脈派、血圧、呼吸変動、アミラーゼ活性、脳活動のうち、どの生理指標が、刺激に対して変化するかを測定し、刺激の種類と生理指標および生理指標間の関係性を明らかにすることが本研究の目的である。本年度は、ストレッサを温熱(温度と湿度)として、特に高温多湿におけるストレス反応を多角的に測定して、温熱刺激に対するストレス評価指標の作成を行った。温湿度環境に対する人間の温熱快適感を調査し,温熱快適性を評価する指数に関する研究は行われているが,体温変動や心拍変動,血流量などの生体反応から温熱ストレスを評価する指数に関する研究は少ない。本研究では、人間の身体付近の温湿度に対する感覚と心身への影響を生理心理学的計測手法を用いて評価し、身体を取り巻く温熱環境の快適性評価指数の作成を行った。温度、湿度をそれぞれ変化させたときの心身反応を測定した。測定手順は、以下の通りである。(1)1段階30分とし,0〜20分を環境に対する順応時間とした。(2)20〜25分で心電図と血流量を着座安静状態で測定した。(3)25〜30分で官能評価を行った。温熱ストレッサとしては、温熱に対する順応時でのストレス反応と温熱変化に対するストレス刺激に大別させるが、本研究では、温熱順応時におけるストレス反応を評価した。温湿度センサを胸・背・脚部の体表面から2cmの位置に設置し、体付近の温湿度を測定した。皮膚表面温度はHardy/Duboisの7点法を採用して測定した。 皮膚表面温度、皮膚近傍温度、湿度と生理反応、心理反応の結果から、健康学的な温熱快適状態を示す数学モデルを作成した。このモデルと不快指数と比較した結果、快適条件から不快条件の領域が異なることが明らかになった。
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