本研究は、舞踊動作を自動的に創作する"自動振付システム"の開発を通して、ダンスという芸術的な身体動作に内在する構造と美意識を操作可能な形式で記述することを目的とする。2007年度は、データ、アルゴリズム、インタフェースについて以下の作業を行った。 データ:2006年度に引き続き、クラシックバレエに加えてコンテンポラリーダンスの動作のデータ収録を積極的に行った。バレエに関しては、女性の初級レッスン「プティアレグロ」に必要な基本ステップについて、データアーカイブの完成度を高めるためにデータの整理と加工を進めた。また、いくつかのバレエ作品(ヴァリエーション)について、プロダンサーの実演をモーションキャプチャシステムで収録した。コンテンポラリーダンスに関しては、いままで収録していない基本動作を選択してデータ収録した結果、データ量をほぼ倍増させることができた。 アルゴリズムとインタフェース:アルゴリズム開発に関しては、2006年度に引き続き、コンテンポラリーダンス用の自動振付アルゴリズムと、バレエとコンテンポラリーダンスの動きを混合させる自動振付のアルゴリズムを試作した。このアルゴリズム開発は、コンテンポラリーダンス振付家の協力を得て行った。インタフェース開発に関しては、すでに開発済みの"Web3D Dance Composer"に若干の改良を加えた。 以上の作業を行った結果、コンテンポラリーダンスの自動振付については、実用化のためには基本動作数のさらなる増加が望まれること、アルゴリズムとインタフェースは評価と改良をさらに数段階経なければならないことが明らかになった。研究の成果は、人文社会とコンピュータ研究発表会、International Conference on Computer Graphics Theory and Applicationsなどで発表した。
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