研究概要 |
本年度は、早産児が検査に耐えうる時間内で行うことのできる「大脳皮質の機能的発達を予測する知覚認知検査セット」の作成と,東北大学医学部で実験設備の確認のための予備実験を行った.特に,生後3ヶ月・5ヶ月・7ヶ月という,皮質の発達に重要な節目である時期の検査項目選定のため,それぞれの月齢を対象にて実験を行った. 中央大学文学部:検査項目の妥当性を検討するための実験を行った. 1)知覚検査項目作成に関する実験: 3ヶ月-低次の運動視に関して,これまでの拡大・縮小運動に続き回転運動の識別について検討した.その結果,3ケ月児では回転運動とランダム運動の識別が可能であることが認められた. 5ヶ月-隠された形を知覚する能力について,3ヶ月児と5ヶ月児を比較した結果,5ヶ月児においてのみ知覚できることが示された. 7ヶ月-異なる角度からの様々な向きの顔を,滑らかな回転運動でのみ学習でき,その後これまでに見たことのない向きでも顔を識別することが可能であった. 2)脳活動を計測する実験: 人にとって最も重要である「顔」に対する乳児の脳内の血流を近赤外分光法(NIRS)を用いて測定した.その結果,顔に対する反応が右半球で強く出ることが示された.この結果は,世界で初めて乳児の顔知覚時の脳活測定に成功したもので大きな反響を呼んだ. 東北大学医学部:早産児(4・7・10ヶ月児)を対象とした実験試行の準備を検討した. 1)病院内での検査,実験時間の検討を行った.その後,検査室を確保し,実験機材を設置した. 2)中央大学で検討した知覚検査のプログラムを送り,予備実験を開始した.
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