研究課題
小児と成人を対象にpreliminary studyとして行った脳血流計測の解析を行い、また、成人を対象に眼球運動計測装置による、gaze aversionの定性的、定量的解析を行い以下の結果を得た。3名の女児(4-5歳)を対象に認知課題遂行中の前頭極10箇所における脳血流を連続的に計測し、gazeaversion出現にあわせて事象関連デザインで解析したところ、内側前頭前野で脳血流減少を認めた。これは、思考プロセスに関与していた脳領域がgaze aversion出現時に一時的に活動を低下させたためと考えられた。一方、外側前頭前野を計測した成人(5名,21-24歳)では、両側のfrontal eye field (FEF)付近で脳血流の増加を認めた。しかし、この変化は実際の眼球運動開始と一致しており、血流反応が神経活動から約500msec遅れて生じることを考慮すると、gaze aversionを引き起こす脳内領域はFEFと異なると考えられた。18名の大学生・大学院生を対象に課題遂行中に生じる眼球運動を、眼球運動計測装置を用いて解析した。停留点を0.1秒、50ピクセルの停止と定義した場合、眼球運動は水平運動と上下運動の二つに大別され、被験者はどちらか一方のパターンを示した。このパターンが、被験者固有のものであるか否か、また、gaze aversionを生じさせない状態でのtask performanceを検討するために、半年後に同一の被験者16名を含む20名を対象に、一点固視状態と普通に眼球を動かせる状態で計測、解析を行った。半年後の眼球運動パターンは、まだ全員の解析が終了していないが、同じパターンを示すことが多かった。また、一点固視の場合は、task performanceの低下を示す例が認められ、gaze aversionは無意識に生じ意識的な制御が困難な現象であることが明らかにされた。
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Annual Report, RCCCD, Graduate School of Education, Hokkaido University 29
ページ: 25-23
認知神経科学 9
ページ: 19-23