研究概要 |
遺伝子ノックダウンや薬剤応答などに基づいた遺伝子発現データから大規模遺伝子ネットワークを推定する技術と計測データや文献情報から動的な遺伝子ネットワークモデルを構築しシミュレートする技術を基礎として,遺伝子ネットワーク情報を用いて,創薬のターゲットになるパスウェイを探索するためのバイオインフォマティクスの技術を研究することを目的とし,以下の成果を得た. 1.HUVEC遺伝子ノックダウンデータ,薬剤Fenofibrateを投与したHUVEG時系列遺伝子発現データ,及びタンパク質相互作用データに,動的に変化する転写ネットワークとシグナル伝達パスウェイを抽出する方法を適用して,この薬剤に応答した自己分泌シグナル伝達パスウェイを推定することに成功した. 2.漢方薬の黄連解毒湯をマウスに『投与して解析したマイクロアレイデータに対して,Cell lllustrator, MetaGP, 及びパスウェイデータベースTRANSPATHを統合して用いるバイオインフォマティクス技術を構築し,パスウェイ解析を行い,この漢方薬の作用しているパスウェイの抽出を行った. 3.時系列マイクロアレイデータ解析に適応した状態空間モデルを用いて,異なる細胞株間や,薬剤投与条件に差のある細胞間の遺伝子制御システムの差異に関わる遺伝子群を,シミュレーションモデルからの予測と観測結果の差異から抽出する方法を,ヒト小気道上皮細胞にEGFで刺激した場合と,EGF刺激及びGefitinib投与の場合の,2種類の時系列マイクロアレイデータに適用することにより,薬剤投与により制御関係に変異が生じた遺伝子群を抽出することに成功した. 4.病気及び薬剤応答に関するパスウェイ情報を文献から抽出する技術を開発した.
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