研究課題
基盤研究(B)
近年の神経生物学の研究により、発生過程において軸索伸長を誘引する分子や反発する分子の存在が示され、神経回路形成の原理的な理解は大いに深まった。しかしながら、これら発生プログラムに従った軸索誘導分子によるメカニズムだけで説明することは困難である。本研究では視床から大脳皮質への投射をモデル系として、枝分かれ形成を含む標的認識における軸索誘導分子や神経活動による制御機構を解明することを目指した。まず、発生期の大脳皮質において層特異的に発現する分子として、ephrin-A5、stem cell factorやSema7Aの働きを局所的塗布法用いて視床軸索に対する働きを調べた。その結果、これら表層タンパク質が共同的に軸索成長抑制に作用することが明らかになった。次に、視床大脳共培養系において、神経活動の及ぼす効果を研究した。多電極培養皿を用いて自発発火活動を調べたところ、培養下でも数Hzに及び活動が見出された。次にそれを薬理学的にブロックすると、枝分かれが著しく減少することが示され、発火活動やシナプスの標的層での枝分かれ形成に必要であることが明らかになった。さらに、内向き整流特性を持つカリウムチャネルKIR2.1の遺伝子導入法により、視床・大脳皮質細胞の両方の神経活動が枝分かれに必要であることを示唆する結果を得ている。これらの結果から、層特異的な視床軸索の枝分かれ形成は、標的層由来の分子機構によって制御され、さらにその分子発現は神経活動によっても制御されていることが示唆された。
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