本研究の目的は、輪郭線中に埋め込まれた折れ曲がり刺激に対する刺激選択性を詳細に調べることにより物体の形状を表現する神経メカニズムを明らかにすることにある。麻酔下のサル第二次視覚野より長時間安定な記録を行い、以下の5点について調べる。(1)受容野内外の局所的な入力の性質、興奮性/抑制性の別、方位選択性を明らかにする。(2)逆相関法を利用して受容野の時空間特性、および折れ曲がり刺激の2本の線成分の間の相互作用の時空間的特性を明らかにする。(3)GABAa受容体の拮抗阻害剤を記録部位に微量注入して抑制性シナプスの活動を阻害し、抑制性入力の寄与を薬理学的に明らかにする。(4)複数電極による多細胞同時記録を行い、近傍のニューロン間の反応選択性の類似度の比較、集団としての反応選択性の解析、相関解析による機能結合関係の解析を行う。(5)これらの結果より各線成分の寄与をベースにした計算論的な解析(モデル化)を行い、第二次視覚野における折れ曲がり刺激選択性形成のメカニズムを明らかにする。
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