研究課題/領域番号 |
18300116
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
仙波 恵美子 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00135691)
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研究分担者 |
森川 吉博 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60230108)
久岡 朋子 兵庫県立大学, 医学部, 助教 (00398463)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | サイトカイン / 脳 / マウス / TNF receptor superfamily / TROY / 神経幹細胞 / アストロサイト / 血液-脳関門 |
研究概要 |
Signal sequence trap法(SST-REX法)により、成体マウスの脳よりクローニングした新規のTNFR superfamilyのメンバーTROYの脳での役割を明らかにするため、まず胎生期から成体に至るマウス脳における分布を検討した。胎生期の脳では、TROYのmRNAおよび蛋白は神経新生の盛んな神経上皮に強く発現し、胎生後期から生後においては、グリア新生の盛んな脳室下帯にも発現していた。さらに生後から成体においては、脳室下帯、および大脳皮質などのアストロサイトにも発現が認められた。 TROYをPC12細胞に過剰発現させると、神経細胞への分化を抑制する転写因子HES-5, Id-2の発現が増加し、神経細胞のマーカーであるNF-150やTuJ1などの発現が低下した。また、TROYを過剰発現させた細胞では、NGFによる突起の伸展が抑制された。PC12細胞の神経細胞への分化を抑制したことから、TROYは発達過程および成体において、神経上皮〜脳室下帯の、神経幹細胞を含むアストロサイト系譜の細胞に発現し、それらの未分化性の維持やアストロサイトへの分化に関与していると考えられる。 TROYの機能をブロックするため可溶型TROYを過剰発現するトランスジェニック(TG)マウスを作製し、解析を行ったところ、TGマウスにおいてアストロサイトの終足の形態的異常を見いだした。microperoxidaseを血管内投与したところ、TGマウスにおいて、血管外への漏出を認め、血液-脳関門(BBB)の透過性亢進が確認された。アトロサイトの細胞骨格蛋白や突起の形成に関与する分子の発現をWestern blot法を用いて野生型マウスと比較すると、TGマウスの脳においてVEGFが増加していた。TROYのシグナルは、アストロサイトによるBBBの形成、成熟、及びその維持に不可欠である可能性が示唆された。
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