研究課題
1.疾患患者脳内に蓄積する異常蛋白質の解析タウが蓄積する変性疾患はアルツハイマー病だけでなく、ピック球を伴うピック病、皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、FTDP-17など多くの疾患にみられ、タウオパチーと総称される。今年度は様々なタウオパチー患者の脳からサルコシルという界面活性剤に不溶性を示す画分を調製し、プロテアーゼ処理した後に電気泳動、ウエスタンブロット解析を行った。その結果プロテアーゼ処理後のタウのバンドパターンが、疾患によって異なる様子を示すことが観察された。症例数を増やしてもこの違いは明らかであったことから、単に症例による違いではなく疾患に蓄積するタウの分子種や構造の違いによるものと考えられた。現在、各種抗体による反応性の違いや質量分析により、プロテアーゼ耐性タウの領域の解析を進めている、2.構成成分未同定のユビキチン陽性封入体の構成蛋白質の解析。前頭側頭型認知症(FTD)、あるいは前頭側頭葉変性症(FTLD)として分類される患者脳には、タウ陰性、ユビキチン陽性封入体の蓄積が観察される。同様の封入体が認知障害を伴う筋萎縮性側索硬化症(ALS)にもみられ、その構成成分の同定が望まれていた。申請者らは、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳疾患以外で剖検になった対照例、及びFTLDの脳から、界面活性剤不溶性画分を調製し、LC/MS/MSを用いたプロテオミクス解析を行った。その結果、FTLD脳の低分子領域においてTDP-43が頻度高く検出されることを見出し、2種類のTDP-43抗体を用いた免疫組織染色とイムノブロット解析により、TDP-43がユビキチン陽性封入体の構成蛋白質であることを同定した。興味深いことに、蓄積しているTDP-43は、タウやαシヌクレイン同様、異常なリン酸化を受けている可能性も示唆された。
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