研究課題/領域番号 |
18300122
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 和明 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (30094452)
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研究分担者 |
大雲 剛志 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (50432505)
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キーワード | Necdin / ゲノムインプリンティング / ニューロン / 大脳皮質 / 視床下部 / Sirtl / p53 / Foxol |
研究概要 |
ゲノムインプリンティングによって発現が制御されているNecdinのニューロンの分化発達における役割を父性necdin遺伝子変異(Ndn^<+m/-P>)マウスを用いて検討し、以下の結果を得た。 1. Necdinによる大脳皮質ニューロンにおけるp53アセチル化の調節。Necdinは、ニューロンの生存や寿命に関与する脱アセチル化酵素Sirtlを介して、がん抑制遺伝子産物p53の脱アセチル化に及ぼす影響を検討した。NecdinはSirtlやp53と三者による安定的な複合体を形成し、Sirtlによるp53の脱アセチル化を促進した。また、Necdin欠損マウスの大脳皮質由来のニューロンでは、内在性p53のアセチル化レベルが高く、DNA損傷応答におけるp53依存的なアポトーシスも増強されていた。したがって、Necdinはストレス条件下でのニューロンにおいて、Sirtlと協調して、p53の脱アセチル化を促進してアポトーシスを抑制している事が明らかになった。 2. Necdinによる視床下部ニューロンのFoxolアセチル化の調節。NecdinがSirtlを介して視床下部ニューロン機能を司る転写因子であるFoxolの活性を制御するかを検討した。NecdinはFoxolと結合して転写活性を抑制した。また、NecdinはSirtlを介してFoxolの脱アセチル化を促進して、転写活性を抑制することが明らかになった。父性Ndn遺伝子欠損マウス由来の視床下部弓状核においてFoxolのアセチル化の亢進が認められた。したがって、NecdinはSirtlを介してFoxolのアセチル化レベルを調節し、Foxol標的遺伝子の転写を抑制することによって、食欲や摂食などの視床下部ニューロンの機能を調節していることが示唆された。
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