研究概要 |
細胞内カルシウムシグナル分子に対する分子標的薬の研究開発は、Calmodulinについては進展しているものの、他の低分子EFハンド蛋白質、Calmodulin-Kinaseなどの分子標的薬関発は進んでいない。低分子EFハンド蛋白質(S100蛋白質,以下S100)およびCalmodulin-Kinase Kinase(CaM-KK)の分子標的薬開発を進めた。S100については、その生理作用の解明、分子標的薬スクリーニング系の確立が、まず、重要である。新規に、S100がtetratricopepti de repeat(TPR)を含む蛋白質を標的とすることを発見した。TPR蛋白質の中で、Hsp-organi zing protein(Hop),Kinesin軽鎖、Tom70をS100が標的とすること、その分子機構を解明し公表した。TPR蛋白質の一種であるProtein Phosphatase5の活性調節を利用したS100分指標標的薬スクリーニング系を確立し、これにより数種のS100分子標的薬のリード化合物を発見した。一方,CaM-KKについては独自に開発した分子標的薬を用いた生理機構の解明を進めた。CaM-KKはその下流に存在するCaM-KIおよびCaM-KIVをリン酸化することによって生理作用を発揮するが、本研究により新たにCaM-KKの標的酵素としてSAD-Kinaseを同定した。CaM-KK/SAD-Kinaseという新しいカルシウムシグナル経路は、神経回路形成に重要な役割を果たしている。更に、分子標的薬の無標識、高感度スクリーニングシステムを開発する目的でSi-Nanowireを利用した新規スクリーニングシステムの検討を行い、その動作原理の確認を終了した。
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