研究課題
基盤研究(B)
ドーパミンはパーキンソン病、統合失調症、注意欠陥・多動性障害、レット症候群、薬物依存などの病態と密接に関わっている。ドーパミン作用の異常は様々な精神・神経症状を呈するため、ドーパミンが作用するメカニズム、つまり、ドーパミン情報伝達系の解明は重要である。この研究の目的は、正常に機能する「線条体領域ドーパミン情報伝達マップ:正常機能」の確立を目指すとともに、病的条件下において精神・神経機能異常を誘導する情報伝達系を特定し「線条体領域ドーパミン情報伝達マップ:病態モデル」を作製することである。本研究により、以下の成果を得ている。ドーパミン/DARPP-32情報伝達カスケードの解析では、DARPP-32のCK2リン酸化サイトであるSer97残基は核外移行シグナルとして機能している。PKAシグナルの活性化はPP-2AによるSer97残基の脱リン酸化を促進し、PKAによりThr34残基がリン酸化されたDARPP-32が核内に蓄積し、核内PP-1抑制シグナルとして機能する。ドーパミン情報伝達を制御機構の解析では、線条体にはphosphodiesterase(PDE)4B、PDE10AなどのPDEサブタイプが発現しており、直接路D1ニューロンではPDE10A、間接路D2ニューロンではPDE10AとPDE4B、ドーパミン神経終末ではPDE4Bが選択的に発現し機能していることを示唆する結果を得た。レット症候群モデルマウスであるMecp2^<308/Y>マウスの解析では、20週齢を過ぎるとドーパミンD1受容体シグナルの選択的亢進を認めることを明らかにした。薬物依存モデルの解析では、メタンフェタミン逆耐性モデルでは高親和性ドーパミンD2受容体の割合が増え、逆耐性を消失させるドーパミンD1アゴニストの慢性投与により高親和性ドーパミンD2受容体の割合が正常化することを明らかにした。
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