研究概要 |
本年度(平成19年4月1日-20年3月31日)は,神経末端におけるシナプス小胞のリサイクル機構に関して,以下の点を明らかにした。 1)シナプス小胞のエンドサイトシスには,active-zone endocytosisとnon-active-zoneendocytosisの二つがある(18年報告)が,straitjacket遺伝子がエンコードするカルシウムチャネルがactive-zone endocytosisを制御していることを,この遺伝子の変異株を利用して同定した。また,エンドサイトシスを引き起こすCa2+は,dynaminによる小胞のちぎれを起こす前段階の状態を作り出すことに必須である。このCa2+流入は,non-active zoneでは,protein kinasesを活性化し,エンドサイトシスに必要分子のリン酸化,分子の集合を起こすか,または,小胞がちぎれるための細胞膜の曲性を作り出すかと考えられる。 2)これまで,神経末端では,アクチンは確認されているが,チュブリンは確認されず,チュブリンは,神経末端では,機能していないとされてきた。GFP-チュブリンを神経終末に発現させたハエを作成し,神経末端での機能を明らかにしようとした。神経を刺激すると神経末端のチュブリンの分布の変化が見られた。チュブリンの安定化を起こす,タキソール処理およびチュブリンの安定化が更新しているnc33変異株では,エンドサイトシスした小胞は,未処理および野生型の時と違って,神経終末の内部に分布し,この小胞は,刺激によって容易に,放出されなかった。Shibire変異株で,小胞のエンドサイトシスを遮断した時,小胞は,膜にトラップされるが,その時チュブリンが細胞膜に存在することが見つけられた。これらの結果は,チュブリンは,神経終末でダイナミックに変化しており,神経活動は,その変化を促進し,シナプス小胞のエンドサイトシスおよびその後の小胞の運命に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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