研究課題/領域番号 |
18300132
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
立花 政夫 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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研究分担者 |
塚本 吉彦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20104250)
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キーワード | 神経科学 / 生理学 / 解剖学 / 脳・神経科学 / シグナル伝達 / シナプス / 網膜 / 伝達物質放出 |
研究概要 |
網膜第2次ニューロンである双極細胞からのシナプス出力様式を明らかにするために、伝達物質であるグルタミン酸が軸索終末部のどの部位から開口放出されるかを検討した。キンギョ網膜から単離したMb1型双極細胞を膜電位固定し、パッチ電極からシナプスリボンに特異的に結合する蛍光標識したペプチドと蛍光性Ca指示薬を導入した。全反射蛍光顕微鏡を用いて膜直下の蛍光変化を計測した結果、Caイオンの流入部位はシナプスリボンの直下に局在していることが明らかになった。次に、シナプス小胞をFM色素で蛍光標識し、脱分極によってCa電流が活性化された時に、シナプス小胞の形質膜への融合がどの部位で生じるかを検討した。その結果、シナプス小胞の融合イベントは、脱分極直後にはシナプスリボン近傍で一過性に生じるが、その後、シナプスリボンから離れた場所で持続的に生じることが明らかになった。また、双極細胞軸索終末部に存在するプロテインキナーゼCを活性化させるとシナプス小胞の融合イベントはシナプスリボンから離れた場所で選択的に増加することを見いだした。さらに、シナプス小胞の融合イベントはランダムな場所で生じるのか否かをモデルシミュレーションで検討した結果、シナプスリボン近傍のみならずシナプスリボンから離れた場所でも局所的に集中して生じることが明らかになった。電子顕微鏡を用いてキンギョ網膜の双極細胞軸索終末部の微細構造を観察した結果、シナプス小胞はシナプスリボン直下のみならずシナプスリボンから離れた部位にも繋留されていること、また、シナプス小胞の凝集部位の対面にシナプス後細胞のプロセスがのびておりシナプス特有の構造があることを見いだした。以上の結果から、双極細胞にはリボンシナプスとリボン無しシナプスという2種類の出力シナプスが存在し、それぞれ一過性と持続性のシナプス伝達に関与しているとの新たな知見が得られた。
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