研究課題
ハンタウイルスは持続感染げっ歯類が感染源となる人獣共通感染症でヒトに腎症候性出血熱やハンタウイルス肺症候群という重篤な疾病を引き起こす。齧歯類は血中に高い中和抗体を保有しつつ不顕性にウイルスを排泄し続けるというきわめて特徴的な持続感染を成立させている。本研究では齧歯類におけるハンタウイルス持続感染成立機構を明らかにすることを目的とする。本年度はまず持続感染マウスでの免疫担当細胞の感染を検討した。その結果、新生仔期に感染させ二週後のマウスの脾細胞中から局在的に付着系の免疫担当細胞に感染が確認された。この二週を境界にマウスの細胞性免疫は抑制され、持続感染期にはいり、その後ゆっくりと脾細胞中の抗原は排除に向かいウイルスの潜伏は肺に集中する。次にハンタウイルス感染抗原提示細胞の持続感染成立への関与を明らかにするために、細胞移入によって持続感染を誘導することを試みた。はじめに移入源として新生仔期に感染させ2週後のマウス脾細胞を用いた。感染二週後マウスの脾細胞をスキッドマウスに移入しその後の経過を観察したところ、スキッドマウスに持続感染を誘導することに成功した。次に細胞性免疫測定用の抗原提示細胞として用いている持続感染P388D1細胞を移入したところ、本来のガン細胞としての毒性のため使用できなかった。次に、マウスの尿・鼻腔粘膜洗浄液を用いて細胞への感染増強効果を検討したが効果は認められず、in vitroでのプライマリー細胞への感染増強による持続感染抗原提示細胞の調整は困難であると考えられた。持続感染誘導メカニズムを明らかにするために、誘導に成功した感染二週齢マウスの脾細胞中の感染細胞種の特定を行った。その結果CD11c陽性細胞で有意に感染が起こっていることが確認された。そこでこの感染マウス由来由来CD11c陽性細胞と、非感染マウス由来相当細胞の遺伝子発現パターンをマイクロアレイで比較し、現在解析中である。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
Clinical and Vaccine Immunology 14(2)
ページ: 173-181
Journal of Medical Virology 78
ページ: 290-297
Vaccine 24
ページ: 2928-2934
The American Journal of Tropical Medicine and Hygiene 75(5)
ページ: 994-1002