NCマウスはアトピー性皮膚炎のモデルとして有名な疾患モデル系統である。我々はこのNCマウスにネズミマラリア原虫を感染させると、極めて高い原虫の増殖を示すうえ、脳障害(脳マラリア)やネフローゼ症候群などのヒトのマラリア合併症に見られる特徴的な病態を呈することを見出した。感染症とアレルギー疾患はともに免疫系を介して極めて密接な関係があるため、両方の病態が観察されるNCマウスには感染症とアレルギー疾患に共通する分子基盤が存在すると推定される。そこで本研究ではNCマウスを用いて、(1) 原虫率に関与する遺伝子、(2) 脳マラリア発症に関与する遺伝子、(3) 腎不全発症に関与する遺伝子、(4) アトピー性皮膚炎発症に関与する遺伝子を同定することにより、感染症とアレルギー疾患に共通する分子基盤を見出すことを目的とする。
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