研究課題/領域番号 |
18300143
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
小林 英司 自治医科大学, 医学部, 教授 (00245044)
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研究分担者 |
今野 兼次郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (30323348)
村上 孝 自治医科大学, 医学部, 講師 (00326852)
田中 穂積 自治医科大学, 医学部, 講師 (90364497)
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キーワード | 病態モデル / ミニブタ / 再生医学 / 臓器移植 |
研究概要 |
本年度は、ミニブタを用いて腎臓、小腸および肺の移植実験を行うと共に、胎仔および新生仔の心臓から回収した心筋細胞を用いた再生医療に関する実験も行った。 臓器不足が深刻な社会問題となっているが、この問題を解決すべく、心臓移植分野では、これまでラットを用いて心筋細胞シートの研究を進めてきた(Sekine et al.'06a,b, Shimizu et al.'06)が、将来的な臨床応用を視野に入れ、ブタを用いた研究へとシフトした。ラット同様、家畜豚だけでなくミニブタでも新生仔および胎仔から回収した心筋細胞をシート状に培養し拍動する事を確認した。今後は、レシピエントであるブタ血管に心筋細胞シートを巻いて補助心臓の作製を試みるが、今後は拒絶反応を出来るだけ起こさないように血管を処理する方法も検討し、来年度以降は臨床応用を視野に入れた研究を進めていく。 また、ミニブタの小腸および肺の移植モデルを作製して、regulatoryT細胞(Tregs)など、移植臓器に対する宿主の拒絶反応に関して検討した。その結果、小腸よりも肺移植モデルで非常に安定した疾患モデルを確立した。このモデルを用いて、Tregs投与時のlymphopenia作製のためのエンドトキシン投与量や免疫抑制剤の血中濃度維持に関して検討中であり、これらの結果をもとに、ミニブタ肺移植モデルにおいてTregsの理論が確立の可能性を検討中である。 さらには、ヒトにおける腎移植は、優れた免疫抑制剤の開発により腎移植を受けた患者の殆どが長期生存するものの、依然として一定の割合で免疫不全等により移植手術が効を成さない場合がある。そこで腎臓の形態ならびに生理学性状がヒトと非常に類似しているミニブタを用いて腎移植法を検討した結果、ブタの場合、左腎を腹部後大動脈に端々吻合するのモデルが最も簡便で成功率が高い結果を得たが、今後は様々な臓器保存液を用いて保存した後に腎臓を移植し、臓器の保存状況と移植手術結果の相関を検討中である。
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