ヒトMSCから軟骨細胞への分化培養において、MSC特有の複数の表面抗原の有無を定量的に解析することにより、軟骨への分化と細胞形態との関連性のより直接的な証明に資することを目的とした。 TGF-β_3とIGF-1を含む培地を用いて24穴プレート(1.8cm^2)底面上でヒト骨髄由来MSCを分化培養し、細胞形態を解析するとともに免疫蛍光染色によりCD90、CD166の有無を調べた。この時、対照として繊維芽細胞と軟骨細胞を同時に染色し、蛍光輝度値の閾値を決定した。 分化培養後のMSCにおいて、大きい多角形細胞に含まれるCD90陰性またはCD166陰性の細胞の割合は約80%と高く、逆に、CD90陰性またはCD166陰性の細胞に含まれる大きい多角形細胞の割合も60%以上と高かった。この結果は主観的にCD90の有無を判断した従来の結果とほぼ同じであったが、客観的に判断したことから、この細胞診断方法の信頼性は高まったと考えられた。 2重免疫蛍光染色結果の客観的判断と細胞形態解析に基づき、大きい多角形細胞が高い割合でCD90、CD166に陰性であり、軟骨系統細胞に分化している細胞である可能性がより高くなった。
|