研究課題/領域番号 |
18300147
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉浦 清了 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10272551)
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研究分担者 |
久田 俊明 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40126149)
渡邊 浩志 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (10282500)
山下 尋史 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50323572)
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キーワード | 循環器・高血圧 / 生理学 / シミュレーション工学 |
研究概要 |
電位感受性色素Di8-ANNEPSおよびカーボンファイバーのシステムを用いて単一心筋細胞の長軸方向への伸展に対する膜電位の応答を計測できる実験系を確立した。ラット心室筋について検討したところ、1)収縮時の伸展は活動電位を延長すること、2)静止時に加えた伸展は伸展の度合い(歪)に応じた脱分極を引き起こすことを見出した。細胞外液の組成を変えながら歪と電位の関係をさらに詳細に検討したところ小さな歪ではカルシウムが大きな歪ではナトリウムが主に電位の変化に関与していることが示唆された。また伸展の速度を変えた実験からは膜電位の変化は歪だけではなく歪速度にも関係していることが明らかになり想定されている伸展感受性イオンチャンネルへの細胞外からの力学刺激伝達には粘弾性要素が介在していることが示唆された。この粘弾性要素はおそらく細胞骨格に存在していると考えている。サイトカラシンDによってアクチン骨格を破壊したところ反応はほぼ消失しこの仮説を支持する結果であった(Nishimura et al. Cardiovasc Res 2006)。これらの結果を説明するためにラット心室筋の電気生理学モデルに伸展感受性イオンチャンネルおよび粘弾性要素を組み込んだモデルを開発した。これらの実験と平行して単一心筋細胞に長軸引っ張りだけでなく、せん断、押し込みを加えることのできる実験系を開発し細胞の物性を検討した。ここでも細胞骨格との関係が明らかになった。この結果についてはtensegrity modelに基づく細胞シミュレーションによって結果を説明することができた(Nishimura et al. Circ Res 2006)。
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