1.集積化マイクロポンプ/バルブの開発 ポリジメチルシロキサン(PDMS)を主材とし、水の電気分解を動力源としたバルブ付き電気化学マイクロポンプを作製した。熱収縮性ポリスチレン板にレーザープリンタでポンプの流路を描画し、熱収縮させて鋳型を作成した。この鋳型をPDMSで象り、吐出用白金黒電極を挿入し、ポンプ本体を作製した。塩化カリウム溶液をPDMS中に封入して、電解用白金電極を挿入し、ダイアフラムバルブを作製した。ポンプとバルブを接合させた。このバルブ付きの電気化学マイクロポンプは、吐出液の補充が可能であり、また吐出の開始と停止に掛かるタイムラグは1秒であった。またこのバルブ付きポンプでアセチルコリンを投与することによる単離培養アメフラシ神経細胞に興奮性シナプス後電位を発生させることができた。このことから、電気化学マイクロポンプを利用することにより、神経シグナル制御が可能になることが示唆された。 2.蛍光膜電位イメージングによる神経ネットワーク解析の可能性 アメフラシの口球神経節を摘出し、プロテアーゼ処理を行わずに保護膜を切除して膜電位感受性色素で染色し、食道神経束を通電刺激して蛍光強度変化を観測した。刺激に応じて、中枢パターン機構からの出力に由来する周期的な興奮性シナプス後電位発生が検出された。そして興奮性シナプス後電位に対応した蛍光強度変化が確認された。この結果より蛍光膜電位イメージングによって神経ネットワークの解析が可能になることが分かり、さらに蛍光イメージングを使うことで人工シナプスによる情報伝達を評価できることも分かった。
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