研究分担者 |
原口 亮 国立循環器病センター(研究所), 研究機器管理室, 室員 (00393215)
芦原 貴司 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80396259)
難波 経豊 姫路獨協大学, 医療保健学部, 教授 (70331866)
池田 隆徳 杏林大学, 医学部, 准教授 (80256734)
五十嵐 健夫 東京大学, 情報理工学系研究科, 准教授 (80345123)
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研究概要 |
ヒト心室筋を基にした心筋細胞モデルを取り入れた上で,患者データからの心臓形状のモデリングと数値計算を実行するのに必要な各種プログラムを開発し,実際に複数の患者データから構成したバーチャル心臓(7000万〜1億2000万ユニット)の興奮伝播シミュレーション実験を行うことに成功した.不整脈源性右室心筋症(ARVC)および拡張型心筋症(DCM)の患者データを用いたシミュレーション実験からベクトル擬似心電図を算出し臨床心電図と比較したところ,それぞれの病態に応じた心電図の特徴をいくつか認めた.しかしながら,心筋の脱分極から再分極完了に至るまでの完全な心電図を再現するにはいたっていない.これを再現するには,プルキンエからの内膜興奮順序,線維走向など電気生理的なモデリング(機能的モデリング)の技術開発をさらに進める必要があると考えられる. また,電気的除細動メカニズムを調べるために必要となるバイトメインモデル化とスーパーコンピュータへのプログラムの移植および高速化チューニングを行った.400×400ユニットの2次元媒質を用いてのバイトメイン計算にはユニット数の2乗(16万×16万)の要素を持つ行列式の求解を行う必要がある.チューニング前のベクトル化率は50%以下であったが,データ構造の見直し,行列式の性質(帯行列)とライブラリの活用を図った結果,ベクトル化率を97%〜98%まで引き上げることができた. 本研究に関連してサイトを立ち上げ,Webを通じて共同でモデル構築とシミュレーション実験を行うことができる環境を構築した.これまでに開発した各種ツールおよび簡易シミュレータをWebサーバに配置した.合わせて,バーチャル心臓における興奮伝播過程の可視化を300例以上について行い,その結果を画像ライブラリとして公開するとともに,閲覧のためのインタフェースを新たに開発した.
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