研究課題/領域番号 |
18300159
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
杉山 俊博 秋田大学, 医学部, 教授 (00127242)
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研究分担者 |
小代田 宗一 秋田大学, 医学部, 講師 (80400480)
宮本 洋二 秋田大学, 医学部, 教授 (20200214)
永井 宏和 秋田大学, 医学部, 講師 (50282190)
中田 憲 秋田大学, 医学部, 助手 (50400510)
小泉 幸央 秋田大学, 医学部, 助手 (80353465)
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キーワード | 細胞工学 / 歯胚 / エナメル芽細胞 / 象牙芽細胞 / 歯再生 |
研究概要 |
昨年度、不死化エナメル芽細胞株の樹立に成功し、これまでの解析により、in vitroでアメロジェニン・タフテリン・エナメリンなどの各種エナメル蛋白を産生し、さらに同蛋白を含有する小結節を形成させることに成功した。そこで今回、同様な方法でマウス胎児の歯牙の象牙芽細胞の形質を有しているpapilla細胞から継代培養して、不死化細胞を樹立した。この細胞を象牙芽前駆細胞(odontoblast-lineage cell(OLC))と命名した。象牙芽前駆細胞は、DSPやDMP1のような、象牙質の細胞外マトリックスタンパク質を産生していた。また、osteopontin,BMP-4、procollagen-1やMEPEのような種々のマトリックス成分の転写産物を発現していた。そして、骨形成培地にβ-glycerophosphateとアスコルビン酸を添加すると最高28日間までin vitroで石灰化とカルシウムの沈着が促進された。次に、象牙芽前駆細胞の形質マーカーとして知られているLIM homeodomainタンパク質のメンバーであるLhx6遺伝子とLhx7遺伝子の発現を検討した。その結果、in vitroで象牙芽前駆細胞にβ-glycerophosphateを添加して培養したところ、Lhx6遺伝子転写産物が減少していた。我々の樹立した新規な象牙芽前駆細胞は、今後象牙形成機構を解明するために貴重なツールになると思われる。現在までに知られている歯の再生過程には、上皮-間葉相互作用が必須である。その方法は、ハニカム構造フィルムを介して片面にエナメル芽前駆細胞を、もう一方の面に象牙芽前駆細胞を接着させた。現在のところ、ハニカム膜上のボア径は両前駆細胞とも15μが最も効率よく生着し、増殖できることが明らかになった。今後、マウス新生仔の歯胚より不死化に成功したエナメル芽前駆細胞と今回樹立した象牙芽前駆細胞との上皮-間葉相互作用を制御して、それぞれエナメル芽細胞と象牙芽細胞に分化誘導させることを目指す。
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