研究課題/領域番号 |
18300160
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
塙 隆夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90142736)
|
研究分担者 |
米山 隆之 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (00220773)
土居 壽 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (30251549)
小林 郁夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (40242268)
横山 敦郎 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20210627)
|
キーワード | チタン合金 / 骨折固定材 / リン酸カルシウム / ジルコニウム / 表面被覆 / 表面分析 |
研究概要 |
TiおよびTi合金は優れた耐食性、硬組織適合性、高い比強度を示すため、骨折固定材や人工関節など様々な医療用部材に用いられている。しかし、髄内釘やボーンスクリュウなどの内固定剤が髄内埋入部で仮骨形成により骨と癒合してしまうことがあり、抜去時に再骨折してしまうという症例が報告されている。材料の仮骨形成能は、その材料を擬似体液に浸漬したときに表面にリン酸カルシウム(CaP)形成が起こるか否かで評価できる。また、TiにZrを50mol%以上添加した合金ではCaPが形成しないことが報告されている。そこで、Zrを用いてTi表面の硬組織適合性を抑制し、Ti製骨折部固定材の髄内埋入部で仮骨形成と骨癒合を抑制することを目指す。また、TiおよびZrについて、_生体擬似環境中で動電位カソード分極を行い、CaP析出機構を検討した。 Hanks溶液浸漬後の試料は、SEMによる観察でTiには1μm程の粒状析出物が確認されたがその他の試料には析出物は認められなかった。XPS分析でリン酸イオンとカルシウムイオンが検出されたため、この析出物はリン酸カルシウムであることがわかった。定量分析の結果、Tiと90nm真空蒸着材にはPとCaが約3.0mol%検出された。130nm蒸着材ではPとCaは約半分に減少し、スパッタ蒸着材ではCaは検出されなかった。これはスパッタ蒸着は真空蒸着よりも蒸着材との結合力が強く、CaPに代ってリン酸ジルコニウム(ZrP)が形成されたものと考えられた。 また、Hanks溶液において、Zrの方がTiよりも著しくカソード反応を抑制した。このことから、ZrはHanks溶液中でTiと比べて厚く緻密なZrP皮膜を形成することが示唆された。また、この現象はリン酸イオンや炭酸イオンの存在に影響されることがわかった。
|